仙台高等裁判所 昭和26年(う)808号 判決
原審第三回公判調書を見ると原判決に証拠として採用されている西牧好幸、坂内惣市の各司法警察員に対する第一回供述調書(末尾にそれぞれ被告人の写眞が添付されている)について証拠調を為すに当り裁判官はその取調を請求した検事をして朗読させた旨の記載があるのみで特に展示した趣旨の記載のないことは所論のとおりである。しかしながら右朗読は被告人の面前においてなされており、被告人及び原審弁護人において親しく手に取つて調べうる機会は与えられていたのであるが、被告人及び弁護人は右各調書を証拠とすることに同意し、しかも証拠調に関し何等異議を申立てることもしなかつた事実も同公判調書によつて明かである。されば被告人は右各調書添付の写真については争わずこれを認めたものと推認し得るところであるから之を展示した記載がないとしても結局その証拠調手続の瑕疵は治癒されたものと解するのが相当である。従つて原判決が前示の調書を証拠として採用したからとて所論のような違法があるものと言うことはできない。